腰の筋肉をほぐしてゆるめなくても腰痛が楽になる理由
腰が痛い時に
「腰の筋肉が固まってるなー」
って思う事はよくあると思います。
それは間違ってはいないのですが。
腰の筋肉がガチガチに固まっていたとして、
そこの緊張をゆるめれば腰は楽になります。
でもでも、それだけじゃ「楽になるのは一瞬」です。
その時は楽になっても
また腰が固まる確率はかなり大きいと思います。
腰の筋肉がかたくなるのには、ちゃんと理由があるのです。
どこの筋肉が働いていないか、
どこの筋肉が固まって腰や関節に負担がかかるのか、
それをできるだけ難しくならずに、分かりやすく解説したいと思います。
[もくじ]
腰はもともと動かないもの
腰を回せ!腰をひねろ!腰を動かせ!
なんて言葉、よくスポーツの現場で聞こえてきそうです。
腰が動けば、本当にパフォーマンスが上がるのでしょうか?
実は、
腰が動けば動くほど、パフォーマンスは低下して
腰を傷めてしまうことにつながります。
腰は「体幹」と言われるものの一部です。
体幹がガッチリしている
というイメージをするとよく分かりますが、
体幹はその通りガッチリと安定しなくてはいけません。
体幹は、カラダの土台で中心になります。
「土台」は固まっていて、初めて足や手が自由に動かせるもの。
体幹が固まっていれば、
握力が無くても、カラダからすごいチカラが手に伝わるようになるのです。
また
マラソンなどの持久力が必要な競技でも
体幹がブレなければムダな体力を使わなくて済みます。
体幹が固まって強ければ
スポーツにおいては分かりやすいですが
日常生活でも
しっかり効率の良い動きになってくれるのです。
なので、体幹が固まって安定していれば
腰を傷めにくいというのは容易に想像できます。
ですので、
腰を傷めにくくするには、体幹をガチッと固めて安定させなければいけないのです。
体幹が強いとはどんな状態?
今までの解説を見ると、
腰痛を起こさないようにするには、腰(体幹)をガチガチにしておかなければイケナイような理解となります。
でもこれは、腰の筋肉をガチガチに固めておく事とはチョット違うのです。
体幹の安定とは、腰の筋肉の固さとは別です。
腰が固けりゃ体幹が安定しているワケではありません。
体幹とは、主に横隔膜を使った腹圧の事です。
チョットむずかしいですね。
「腹圧がしっかり入っている事で体幹が安定している」
と言えるのですが、
それは「呼吸」で使う横隔膜が機能しているかどうか。
という事なのです。
かんたんに言えば、息を吸ったり吐いたりする時に
腹式呼吸とかって言いますよね。お腹を膨らましたり凹ましたり。
その腹式呼吸で使う筋肉が「横隔膜」なのです。
フッキンや背中の筋肉が体幹を強くしている訳ではありません。
フッキンをたくさんやってボコボコに6つに割れている腹筋は
めちゃくちゃカッコイイですが、
それで体幹や腹圧が強いとは言えないのです。
実際にフッキン割れてても、腹圧が弱い人はたくさんいます。
この「腹圧」が体幹の強さを決めるものなのです。
動く関節と動かない関節がある
- 体幹が弱いと腰痛になりやすい。
- 体幹の強さはフッキンじゃなくて「腹圧」。
ということはお分かりになったでしょうか?
横隔膜が使えて初めて体幹が強いと言えるのです。
そして、この体幹を安定させるには
股関節がしっかりと動かなければ意味がありません。
股関節がちゃんと働くことでこの体幹の強さが発揮できるのです。
ニンゲンのカラダにはたくさんの関節があります。
たくさんの関節がありますが、
実はどの関節もグルングルン動けばイイものではないのです。
安定してなくちゃイケナイ関節と
しっかり動かせる(可動性)関節の
2つに大きく分かれるのです。
それが
スタビリティとモビリティと呼ばれるものです。
スタビリティは安定性
モビリティは可動性
大きくこの2つに分かれます。
さらに、この2つは隣り合っているのです。
すぐとなりの関節が逆の働きになっています。
上の図を見ると、安定するスタビリティと可動するモビリティがすぐお隣さんだってことが分かると思います。さらにこれらは「交互」に設計されています。
先ほどから書いている腰は「安定性の関節」になります。
そして、すぐとなりにある股関節は「可動性の関節」になっています。
ナゼこのような設計になっているのかと言うと、
どこかが動く時は、別のどこかが支点になって止まっていないといけないからです。例えばデコピンで強く指を弾く時って、安定している関節があるから、指に強い動きがつけられます。安定してないとテコをうまく使って強く動かせないのです。
このスタビリティとモビリティの関節が交互に配置されています。
【スタビリティ(安定)】
腰(体幹・腰椎、仙腸関節)
ヒザ
足
肩甲骨
首の上部(環椎後頭関節)
ひじ
手
【モビリティ(可動)】
股関節
足首
首(頸椎)
胸椎(腰の上)
肩関節
手首
と、きれいに分かれています。
こういう役割を関節が持っています。
これを覚えておくと便利かと思います。
これらの関節の役割は、逆転しまうことがあります。
どこかを痛めている場合、この関節の働きが逆になっていることがほとんどです。
股関節が動かないという例で見ると、
安定してなきゃいけない腰を動かすことになります。
ひざも本来はそんなに動く関節ではないのですが、股関節が動かない分、変に動かさないといけなくなります。
腰痛やひざの痛みがある場合は、ほとんどのケースで股関節に問題が見られます。ですので、股関節を良くしないと、腰やひざは良くなりません。
肩甲骨はチョット複雑ですが、基本的には、肩関節をグルングルン動かしたいので、肩甲骨が安定した動きをしなければいけません。
野球肩、四十肩、五十肩の痛みでも、この肩甲骨の問題は避けて通れないのです。
こういったように、関節には安定性と可動性の働きをちゃんと働かせないといけない仕組みになっているのです。
つらい腰痛を改善させるために
これまで述べてきた事がわかれば、
腰痛を改善するためには股関節を良くしないとイケナイなってのが
良く理解できるかと思います。
股関節の動きを良くするには、まずおしりの筋肉をしっかりと使えるようにしなければいけません。股関節はお尻の筋肉によって大きく支配されています。
お尻が硬いと股関節が正常ではないのです。
腰が痛いのに、股関節かよ、と思いがちですが、お尻をゆるめるだけで腰痛あるひとは腰の軽さを実感できます。腰は緩めなくても。
また、腰の上の方の胸椎(きょうつい)もまた動かなくちゃいけない関節です。ここが動かない事でまた腰にかかる負担は増大されます。
ですので、ここは背中の筋肉の固さをゆるめなくてはいけません。硬さをゆるめて筋肉が機能して胸椎を動くようにしてあげるのです。
そうすると、本来のモビリティ関節としての働きが戻り、腰が安定してくれるのです。
お尻や背中だけではないですが、モビリティ関節を支配している筋肉の固さをゆるめてあげれば、腰痛時に起こっている腰の筋肉の異常な固さやこわばりが取れてきます。これはぎっくり腰でも同じ事です。
ぎっくり腰で来院された方の腰は痛くて触れないことが多いのですが、このお尻と背中をゆるめてあげるだけでずいぶんと楽になります。腰をゆるめなくても楽になるのです。
さらに働きが悪くなっている筋肉にスイッチを入れてあげれば、回復への道はかなり近くなります。
腰痛を楽にするためには、腰の筋肉じゃなくて、こういったまわりの筋肉をゆるめることがすごく大事なのです。特にこのスタビリティとモビリティの関係性はトレーニングなどにもおいてもすごく重要です。
どこかがおかしくなったら、これを思い出してください!
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。